• 氏名：城野 博史
• 所属：熊本大学病院 薬剤部
• 研究内容：新規効果予測マーカーCYLDの分子診断を基軸とした
  新たながん分子標的治療の確立

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自己紹介

1998年 熊本大学薬学部卒業、2003年 同大学院薬学研究科修了、博士（薬学）取得。南カリフォルニア大学・博士研究員、NY州ロチェスター大学医療センター・講師を経て、2008年 熊本大学大学院医学薬学研究部・講師、2012年より熊本大学病院薬剤部・臨床薬物動態学分野・准教授（現職）。同病院・副薬剤部長、臨床研究支援センター・副センター長を兼任。

研究の紹介と今後の抱負

　この度は、歴史ある臨床化学会の学術賞にご選出いただき、学会ならびに選考委員会の諸先生方、ご推薦・ご指導いただいた先生方に厚く御礼申し上げます。
　私は、薬学部卒業後、創薬研究を専門としておりましたが、熊本大学病院の検査部・薬剤部での活動を通して、臨床現場における最適な治療の実現には，臨床検査を基盤とした臨床化学の知識・概念が必要不可欠であることを実感してまいりました。現在は、臨床検査の実臨床への応用を目指した「がんの分子診断を基軸とした新たな分子標的治療の確立」をテーマに研究を展開しております。当研究室で着目している腫瘍抑制遺伝子CYLDは、がんの悪性形質獲得に深く関与し、予後予測マーカーとしての有用性が報告されておりました。今回の受賞内容では、CYLD が分子標的薬に対する効果予測マーカーとなり、従来の診断により予後不良・治療不応と診断された患者に対して、CYLDの分子診断の結果を基に、新たな治療選択を提供できる可能性が明らかとなっております。
　今後も、本研究の推進によるがんゲノム医療への臨床応用、薬学との融合による「臨床化学」の発展に貢献できるよう精進してまいりますので、今後とも何卒ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

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• 氏名：岩泉 守哉
• 所属：浜松医科大学臨床検査医学
• 研究内容：DNAミスマッチ修復機構からみた大腸癌治療の感受性変化

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自己紹介

1999年浜松医科大学卒業、2009年浜松医科大学大学院医学系研究科博士課程修了、2009年カルフォルニア大学サンディエゴ校研究員、2010年ミシガン大学研究員、2012年浜松医科大学特任助教、2014年浜松医科大学内科学第一講座助教、2017年浜松医科大学臨床検査医学助教を経て、現在浜松医科大学臨床検査医学講座病院講師および附属病院検査部副部長

研究紹介と今後の抱負

　この度は名誉ある2019年日本臨床化学会「奨励賞」にご選出頂き、大変光栄に存じております。学会ならびに選考委員会の諸先生方、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
　大学院に入学後は大腸がんの染色体不安定性に関する研究を、大学院修了後は米国でJohn M. Carethers教授のご指導のもと、DNAミスマッチ修復機構からみた大腸がんの病態と治療感受性についての研究を行ってきました。DNAに取り込まれたフッ化ピリミジン系薬物がDNAミスマッチ修復蛋白に認識され、細胞死を誘導する様子を細胞生物学的な研究手法で実感した感激を忘れることができず、現在も継続しております。同時に帰国後、DNAミスマッチ修復機構の破綻の有無をみるMSI検査がリンチ症候群のスクリーニン目的のみならず免疫チェックポイント阻害薬の選択のためのコンパニオン診断としても利用されるようになる時代になり、消化器内科と臨床遺伝学を専門とする臨床検査医として地域で連携した遺伝子診療の構築を進めています。
　今後もFrom bedside to bench and back againを忘れずに臨床化学を通して研究、診療、教育に貢献出来たらと思います。ご指導のほどよろしくお願いいたします。

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• 氏名：後藤 和人
• 所属：九州大学医学研究院 臨床検査医学
• 研究内容：樹状細胞の成熟化におけるミトコンドリアp32の役割

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自己紹介

2002年九州大学医学部卒。2002年九州大学病院に医師として入職。2010年九州大学大学院医学系学府博士課程修了(高柳涼一教授・福井宣規教授)、博士（医学）取得。2013年より九州大学病院・検査部(康東天教授)に助教として赴任し、現在に至る。

研究の紹介と今後の抱負

　この度は名誉ある日本臨床化学会「奨励賞」にご選出いただき、大変光栄に存じます。選考委員会の先生方、本学会の諸先生方に厚く御礼申し上げます。ご推薦及びご指導いただいた康東天教授（九州大学　大学院医学研究院　臨床検査医学分野）、共著者の先生方ならびに研究を支えてくれた研究室のメンバーと家族に深く感謝申し上げます。
　樹状細胞は、病原体に対する免疫応答のみならず、過剰な免疫応答を抑制する免疫寛容にも関与しているため、アレルギー性疾患や自己免疫疾患への関連が指摘されています。私たちのグループは、ミトコンドリアに局在したんぱく質の翻訳や代謝を制御する分子の一つであるp32に着目し、樹状細胞の代謝・活性化におけるミトコンドリアを介する経路の一つを明らかにしました。特にピルビン酸デヒドロゲナーゼという酵素がクエン酸合成や樹状細胞の活性化に重要な因子であることがわかりました。ピルビン酸デヒドロゲナーゼの阻害剤であるCPI-613という低分子化合物は、樹状細胞の活性化を阻害しました。さらに、この阻害剤はマウスの卵白アルブミンを用いた卵アレルギーの病態モデルにおいて、p32部分欠損マウスと同様に卵白アルブミンに対する抗体産生量を減少させました。これらの結果により、p32やピルビン酸デヒドロゲナーゼの阻害は、卵アレルギーを含むアレルギー性疾患の創薬開発につながることが期待されます。

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• 企業名：東ソー株式会社
• 代表者：バイオサイエンス事業部　開発管理室　五十嵐浩二
• 業績概要：オートタキシン測定による慢性肝疾患の検査方法および検査薬

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会社紹介

この度は日本臨床化学会学会賞(技術賞)を頂戴し、誠に光栄に存じます。代表理事、選考委員会の先生方、研究開発の御指導を頂いた諸先生方に心より感謝いたします。東ソー株式会社は受賞対象になりました本体外診断薬を含めた免疫測定診断、遺伝子診断、ならびに液体クロマトグラフィー診断、各診断システムによる信頼性の高い検査を提供し、臨床化学を通して臨床検査技師、臨床医の先生方の診療を通して患者様の適切な治療に貢献できるよう日々研究開発を進めております。

研究の紹介と今後の抱負

　今回受賞対象となりました「オートタキシン測定による慢性肝疾患の検査方法および検査薬」に利用いたします体外診断薬Eテスト「TOSOH」Ⅱ（オ―トタキシン）におきまして、測定対象であるオートタキシンの酵素活性の発見、その濃度が肝線維化の進展度を反映する発見、いずれも日本の研究者によるものです。これら研究成果をもとに診断分野に限らずオートタキシンに関する研究が現在世界中で盛んに進められており、その1つの成果として産官学協力のもとオールジャパンで本診断薬が保険収載されました。本診断薬はウイルス性肝炎や非アルコール性脂肪性肝疾患に代表される多くの肝疾患患者様の予後を規定する重要な因子である肝線維化状態を早期から正確かつ疾患特異的に把握できることから、診断から治療により推移する病態把握まで広く御利用いただけるようになりました。今後、進歩の目覚しい治療薬や再生医療による線維化改善の指標としての利用も期待されており、臨床化学の側面から医療へ貢献できるよう引き続き研究開発を行ってまいります。

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• 企業名：ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社
• 代表者：メディカル・品質・薬事部門　林　海美子
• 業績概要：血漿検体を用いたEGFR遺伝子変異検査の技術と運用

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左から　江田、沖田、林、富樫

会社紹介

この度は日本臨床化学会学会賞(技術賞)を頂き，誠に光栄に存じます．ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社は，ロシュグループ診断薬事業部門の日本法人として，「診断で医療を変える」をモットーに，体外診断の幅広い分野において革新的な機器・試薬・デジタルソリューションで日本の医療に貢献してまいります．

研究内容と今後の抱負

　コバスEGFR変異検出キットv2.0（以下，本品）は，手術不能又は再発非小細胞肺癌患者の血漿または組織中のEGFR遺伝子変異を測定し，EGFR阻害薬の適用を判定するためのコンパニオン診断薬です．本品によるEGFR血漿検査は、本邦において固形癌に対する血漿を検体とした遺伝子検査としてはじめて承認されました．血漿を検体とした検査は，一般的に「リキッドバイオプシー検査」と呼ばれており，本品は，アポトーシスやネクローシスにより血中に漏出されたDNA断片からリアルタイムPCR法によりEGFR遺伝子変異を検出しています．肺癌の検査は，組織検体を用いて行われてきましたが，侵襲性の高い生検による腫瘍組織の採取には気胸，肺出血，感染症等のリスクが伴うため，検体採取に対するリスクを考慮して検査ができない患者が存在することが課題でした．本品による血漿検査は，侵襲性が低く，患者の身体・精神的な負担が少ないため，状態が悪く生検による検査を受けられない患者に対しても検査の機会の提供することが可能になります．弊社では，病理検査，遺伝子検査および腫瘍マーカーによる検査を通してがんに係る包括的な検査により医療に貢献していきたいと考えております．

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• 氏名：末廣 寛
• 所属：山口大学大学院医学系研究科
• 論文名：Highly sensitive faecal DNA testing of TWIST1 methylation in combination with faecal immunochemical test for haemoglobin is a promising marker for detection of colorectal neoplasia

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自己紹介

1993年山口大学医学部医学科卒、1993年4月より山口大学医学部附属病院産婦人科にて勤務、2001年4月より山口大学医学部臨床検査医学講座助手、2001年山口大学大学院医学研究課程修了、2002年4月～2004年3月MD Anderson Cancer Center文部省在学研究員、2007年4月より山口大学大学院医学系研究科　臨床検査・腫瘍学講座講師、2011年4月より同准教授（現職）。学位は博士（医学）、専門は遺伝子検査。

研究の紹介と今後の抱負

　昨年度に引き続き2019年度も論文賞にご選出いただき、心より感謝申し上げます。大腸がんのスクリーニング検査として便潜血検査が行われますが、この便潜血検査は進行がんに対する検査感度は良いものの、前がん病変や早期がんに対する検査感度が非常に低いことが問題となっています。この問題を解決するために、今回論文賞の受賞対象となった研究を実施しました。本研究では、微量検体からでも遺伝子メチル化レベルを高感度に検出可能な、新しいメチル化解析技術を考案しました。さらに、その解析技術を使って便中のメチル化TWIST1を検出し、便潜血検査と組み合わせることで、大腸前がん病変や早期がんの検出に非常に有用であることを世界で初めて報告しました。今後も大腸がんの早期診断に役立つ検査法の研究開発を通じて、臨床化学の発展に貢献して参りますので、日本臨床化学会の先生方のご指導・ご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。

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• アークレイマーケティング株式会社
• ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社

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