• 氏名：小倉 正恒
• 所属：東千葉メディカルセンター
• 研究内容：HDL 機能測定の臨床的意義解明と課題克服

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自己紹介

1998年防衛医科大学校卒業、2009年防衛医科大学校医学研究科修了（医学博士取得）、海上自衛隊勤務を経て2012年防衛医科大学校リハビリテーション部および抗加齢血管内科、2013年国立循環器病研究センター研究所病態代謝部勤務、2021年東千葉メディカルセンター代謝・内分泌内科副部長、千葉大学大学院医学研究院総合医科学講座特任准教授として現在に至る。専門は内科学（特に脂質代謝学）。研究スタイルは（リバース）トランスレーショナル研究。

研究の紹介と今後の抱負

　私は大学院生の時からHDLによるコレステロール搬出反応についての研究に従事してきました。学位論文ではコレステロール搬出を担うABCA1/ABCG1タンパク質がユビキチン・プロテアソーム系で分解され、プロテアソーム阻害薬がコレステロール搬出反応を促進することを明らかにし、その時の感激から脂質専門医/研究者になることを決めました。2013年に国立循環器病研究センターに異動し、HDL機能であるコレステロール搬出能（Cholesterol Efflux Capacity: CEC）の低下と動脈硬化性疾患の関連について研究を実施しました。
　一方、CEC低下は現象に過ぎないため創薬標的にならないという課題に直面し、CEC低下と動脈硬化進展の両方を司る共通物質を同定する研究を進めています。さらに細胞内コレステロールの厳密な制御に着目し、HDLの本質について突き止めたいと考えています。2021年に現職に異動しましたが、現在も本学会リポ蛋白検査専門委員会で知り合った大学・企業研究者の方々と多くの共同研究を展開しています。伝統ある日本臨床化学会の学術賞という栄誉を忘れずに、今後も精進いたします。この度の受賞に際し、改めてご関係の先生方ならびに今まで私を指導してくださった先生方に深謝申し上げます。

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• 氏名：出居 真由美
• 所属：順天堂大学医学部臨床検査医学講座
• 研究内容：腹膜透析患者における腹膜透析排液中のERC/mesothelin と腹膜中皮細胞の関連

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自己紹介

2003年順天堂大学医学部卒業。順天堂大学医学部附属順天堂医院にて内科研修を経て、順天堂大学医学部臨床検査医学講座に入局。2014年順天堂大学大学院医学研究科博士課程修了、医学博士取得。
2017年〜2020年独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査専門員。2020年4月より順天堂大学医学部臨床検査医学講座、順天堂大学革新的医療技術開発研究センター、順天堂大学臨床研究・治験センター　准教授。

研究の紹介と今後の抱負

　この度は名誉ある日本臨床化学会「奨励賞」にご選出いただき、大変光栄に存じます。学会ならびに選考委員会の先生方、ご指導いただきました先生方、研究にご協力いただいた皆様に心より感謝申し上げます。
　腹膜透析は末期腎不全の腎代替療法の一つで、血液透析と比較して残存腎機能が保持されやすい、通院が月1回程度でよくQOLが高いなどの利点がありますが、腹膜透析の長期化に伴う腹膜劣化が問題となります。腹膜劣化を早期に発見することは、適正透析の維持や腹膜透析の合併症予防に重要ですが、これまで腹膜劣化を鋭敏に反映する指標がなく、簡便かつ正確で再現性の高い検査法の確立が課題となっています。腹膜は一層の中皮細胞で覆われていることから、私たちの研究グループは、中皮細胞に限局して発現するGPIアンカー型膜蛋白のERC/mesothelinに注目しました。ERC/mesothelinはFurin様プロテアーゼで切断され、分泌型N-ERC/mesothelinと細胞膜に結合したC-ERC/mesothelinの２つのフラグメントに分かれますが、腹膜透析排液中のN-ERC/mesothelinが腹膜劣化の新たな指標となる可能性を示しました。今後も、臨床化学の発展に貢献できるよう精進してまいりますので、ご指導・ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

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• 氏名：堀内 優奈
• 所属：順天堂大学医療科学部
• 研究内容：無細胞系コレステロール引き抜き能評価法における血清のポリエチレングリコール処理条件の検討

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自己紹介

2016年 東京医科歯科大学医学部保健衛生学科検査技術学専攻卒業　
2018年 東京医科歯科大学大学院保健衛生学研究科生体検査科学専攻博士（前期）課程修了
2020年 日本学術振興会特別研究員（DC2）
2021年 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科生命理工医療科学専攻博士課程修了（博士（保健学））
同年　 順天堂大学医学部附属浦安病院臨床検査医学科
2022年 順天堂大学医療科学部臨床検査学科 助教

研究の紹介と今後の抱負

　この度は歴史ある日本臨床化学会2022年日本臨床化学会学会賞「奨励賞」にご選出頂き大変光栄に存じます。学会ならびに選考委員会の諸先生方、ご指導いただきました東京医科歯科大学 大川龍之介先生、長野県立こども病院 戸塚実先生、順天堂大学 三井田孝先生をはじめ関係者の皆様には厚く御礼申し上げます。
　本研究は心血管疾患の新たなバイオマーカーとなり得るコレステロール引き抜き能の臨床測定を目指した一連の研究の中で行われました。より個人に即した心血管疾患リスク予測を目的に、抗粥状動脈硬化的にはたらく高比重リポタンパク（HDL）の量だけでなく質を測定する試みがなされてきています。HDLの機能のひとつであるコレステロール引き抜き能の従来の測定法は細胞培養などの煩雑な操作を含むことから、我々は以前ゲルビーズを用いた簡便なコレステロール引き抜き能測定法を開発いたしました（Horiuchi et al. Biosci. Rep. 2018）。新法の臨床現場での測定を目指し、各種条件検討やバリデーションなどを行ってきており、本研究は検体血清の処理条件を検討したものとなります。
　今後は開発した測定法の臨床測定を目指した引き続きの検討をはじめ、幅広い領域の研究に取り組み、医学および本学会の発展に貢献できるよう精進してまいります。何卒引き続き皆様のご指導を賜れますと幸いです。

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• 企業名：富士レビオ株式会社
• 業績概要：自己抗体の影響を受けない画期的なサイログロブリン測定試薬
  －ルミパルスプレスト iTACT Tg －の開発

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会社紹介

　この度は栄誉ある日本臨床化学会学会賞　技術賞を賜り、誠に光栄に存じます。選考いただきました、日本臨床化学会代表理事、第62回学術集会会長、選考委員会の先生方をはじめ、本試薬の開発にあたり多数の助言をいただいた先生方、開発チームの仲間たちに心より感謝申し上げます。
富士レビオ株式会社は H.U.グループの一員として、「新しい価値の創造を通じて、人々の健康と医療の未来に貢献する」という経営理念に則り、臨床検査試薬、分析システムの開発に取り組んでいます。私たちは技術的に難しいとされていたことにも挑戦し、臨床有用性の高い製品を提供することで医療へ貢献できるように努めてまいります。

研究の紹介と今後の抱負

　サイログロブリン（Tg）は、は甲状腺分化癌手術後の再発や転移の有無を知るマーカーとして知られています。しかし、現在使用できる殆どのTg 測定試薬は、分化型甲状腺癌患者の25〜30％に存在しているTg に対する自己抗体（抗サイログロブリン抗体：TgAb）によってTg 測定が妨げられ，偽低値が生じるという課題があります。LC-MS/MSは自己抗体による影響を受けない測定法として知られていますが、測定工程が煩雑であること、測定に長時間を要すること、測定コストが高いことなどによりルーチンへの適用は難しい現状があります。
　これらの課題を解決するために、迅速性・簡便性・正確性・精密性を兼ね備えたイムノアッセイである弊社独自技術のiTACT （Immunoassay of Total Antigen from Complex by preTreatment）法を用いた全自動トータルTg 測定試薬測定試薬「ルミパルスプレストiTACT Tg）」を開発しました。iTACT 法は、サンプルの前処理ステップと免疫測定法で構成される新しい免疫測定法です。このiTACT 法を用いることにより、従来正確に測定することが困難であったTgAb陽性検体中のTgについて、自動前処理にて抗体を不活化することによりTg-TgAb複合体からTgを遊離させ、高感度で簡便にTgAbによる影響を受けることなく正確にTg量を測定することが可能となりました。本試薬は、甲状腺疾患患者でのがんの再発や転移の診断に貢献できる可能性が期待されます。私たちはこれからも先進的な技術開発により、新たな価値を生む独自性の高い試薬を開発し、世界の医療に貢献できるよう努めてまいります。

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• 氏名：菊地 良介
• 所属：岐阜大学医学部附属病院
• 論文名： Vascular endothelial growth factor (VEGF)-A and VEGF-A₁₆₅b are associated with time to remission of granulomatosis with polyangiitis in a nationwide Japanese prospective cohort study

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自己紹介

2007年名古屋大学大学院医学系研究科博士課程前期課程修了（医療技術学修士），同年名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門入職，2008年名古屋大学院医学系研究科医学博士課程入学（社会人大学院生），2011年同大学院医学系研究科医学博士課程短縮修了，博士（医学）取得，2011年Whitaker Cardiovascular Institute, Boston University School of Medicine，Postdoctoral Fellow，2013年名古屋大学医学部附属病院医療技術部臨床検査部門復職，2022年岐阜大学医学部附属病院検査部（臨床検査技師長）に入職し，現在に至る。

研究の紹介と今後の抱負

　この度は，日本臨床化学会の2022年度日本臨床化学会「論文賞」にご選出頂き，大変光栄に存じております。学会ならびに選考委員会の諸先生、関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。
　私は臨床検査値と病態との矛盾点に興味を持ち、研究活動を展開してきました。その中で血管内皮細胞増殖因子（VEGF-A）に着目し、臨床検査医学への応用を目指しています。
　本受賞論文は、指定難病に認定されている抗好中球細胞質抗体（Anti-Neutrophil Cytoplasmic Antibody, ANCA）関連血管炎とVEGF-Aとの関連について「ANCA関連血管炎・急速進行性糸球体腎炎の寛解導入治療の現状とその有効性と安全性に関する観察研究（RemIT-JAV-RPGNコホート）」に登録された患者を対象に多施設共同研究として解析を行いました。
　本研究を通して、多くの臨床医の先生のご指導の下で論文化できたこと。そして「論文賞」にご選出していただけたことにとても感謝しております。今後も、後進育成を念頭に臨床検査技師だからこその研究的視点で「臨床化学」の精確性の精神を心に据えて研究活動を継続したいと思います。

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