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日本臨床化学会 事務局
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷5-8-10-605
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2013年度授賞式 2013年8月31日 第53回年次学術集会総会（あわぎんホール：徳島）にて |
自己紹介
新潟大学医学部卒、同大内分泌代謝研究室（旧第一内科）を経て、平成21年より順天堂大学医学部臨床検査医学講座に所属。
研究紹介
この度は歴史ある臨床化学会の学術賞に選出いただき、学会ならびに選考委員の先生方に心より御礼申し上げます。我々の教室では、脂質代謝学や血液学、微生物学などの専門性の異なる研究を行っています。私は脂質代謝研究班に属し、主に糖尿病や脂質異常症とこれらの代謝異常に関連する動脈硬化や神経疾患についての基礎および臨床研究を進めています。現在のテーマとして、LDLコレステロール直接法の標準化の検討、非変性2次元電気泳動法によるHDL亜分画の機能解析、アルツハイマー病におけるLDL受容体ファミリーの機能解析、血中および髄液中ステロールマーカー測定系の確立と臨床応用、などがあります。特に中枢神経系の脂質代謝は未だ未解明な点が多く、近年増加するアルツハイマー病との関連が注目されています。よって中枢神経疾患の病態評価に有用な脂質関連マーカーを確立し、臨床への応用を目指して今後も研究を続けていきたいと思います。
自己紹介
大山浩之 (Hiroyuki OYAMA)
神戸薬科大学、生命分析化学研究室。神戸薬科大学大学院薬学研究科博士後期課程修了。博士 (薬学)。趣味は読書、子供と遊ぶこと。
自分の研究の紹介と今後の抱負
抗体は、強い親和力で特定の標的分子と特異的に結合するため、様々な領域で活用されています。近年、抗体の遺伝子操作により、親和力や特異性を向上させた変異抗体の創製が可能になりつつあります。しかしながら、臨床現場での使用に耐える変異抗体、特にハプテン抗原に対する変異抗体の作製例は極めて少ないのが現状です。私は、典型的なハプテンであるエストラジオールに対する人工ミニ抗体、一本鎖Fvフラグメント (single-chain Fv fragment; scFv) に3段階の変異を導入して、天然の抗体よりも親和力が250倍向上した変異scFvを創製し、これを用いて臨床応用が可能な高感度ELISAの開発に成功しました。この研究では抗体H鎖およびL鎖可変部へランダム変異を導入した「ライブラリー」を構築して変異体を探索する手法を採用しました。今後は、in silico分子モデリングを活用する変異導入部位の予測や目的の変異scFvを効率よく単離する新規選択法の開発も検討したいと考えています。また、ハプテンに限らず様々なバイオマーカに対する変異抗体の調製にも引き続き取り組んでおり、従来の抗体では不可能な優れた免疫測定法を開発して、微力ながら臨床化学の発展に貢献したいと切望しております。
自己紹介
氏名：横川 彰朋
所属：東京薬科大学 薬学部 臨床薬学教室
略歴：2000年3月 東京薬科大学大学院薬学研究科 医療薬学専攻科 修士課程修了。2005年3月 博士（薬学）取得。2000年4月〜2007年7月 東京薬科大学薬学部臨床薬学教室助手。2007年8月〜 東京薬科大学 薬学部 臨床薬学教室 助教。共著：「テーラーメイド医療 ―薬物治療の個別化―」京都廣川書店
自分の研究の紹介と今後の抱負
内因性ステロイドホルモンの体内動態を知ることは、高血圧症などの疾患の原因解明やステロイド代謝に関与する酵素の活性評価に有用な情報を提供します。近年、遺伝子変異と酵素活性について多く研究されていますが、遺伝子変異から活性を予測できる酵素は限られており、血中濃度測定に基づくフェノタイピングが活性評価の手段となります。体内動態の正確な把握や酵素活性評価をするためには、血中濃度を低濃度まで正確に測定する、高精度・微量分析法の確立が必須となります。当教室では、これまで内標準物質として適した安定同位体標識化合物の合成法を開発し、安定同位体希釈分析法の確立を行ってきました。私は、これを基盤として、コルチゾールをコルチゾンに変換する11β-hydroxysteroid dehydrogenase 2 (11β-HSD2) の新しいin vivo活性評価法を開発しました (Yokokawa et al., Steroids, 77, 1291–1297 (2012))。本態性高血圧患者の一部には11β-HSD2活性の低下が指摘されており、正確で簡便な活性評価法は適切な治療法の選択につながると考えられます。今後は、本態性高血圧をはじめとする血圧が上昇する疾患と11β-HSD2活性との関連性を明らかにしたいと考えています。
会社紹介
2年連続で技術賞をいただきましたこと、誠に光栄に存じます。ありがとうございました。
当社は、検査事業、医薬事業、薬物動態事業の３種の事業を展開しています。
（１）当社の主力事業である検査事業では、血液凝固・糖尿病・脂質・リウマチ・感染症などの各種臨床検査薬や、プラスチック製真空採血管の開発・製造・販売を行っています。また、臨床化学自動分析装置・全自動血液凝固分析装置をはじめとする各種分析装置も販売しています。
（２）医薬事業では、医薬品の活性成分である医薬原体（API）、医薬用アミノ酸、医薬中間体の受託製造と、独自の粘着テープ技術を応用した貼付剤の設計・開発を行ない、主に製薬企業に提供しています。
（３）薬物動態事業では、医薬品開発の研究開発支援として、探索から申請、市販後調査までの各段階において、薬物動態に関連する各種評価試験を研究機関から受託しています。
研究の紹介と今後の抱負
当社では、生化学、血液凝固、糖尿病、感染症、遺伝子診断をはじめとする先端領域を中心に、酵素分析法、ラテックス免疫比濁法による自動分析装置用試薬、ポイントオブケア（POC）診断薬および高分子を利用した分離技術を駆使した各種採血管製品ならびに糖尿病検査用カラムの研究開発を行っており、独自技術による検体採取から検査までに必要な臨床検査製品を開発しています。
これからも臨床検査薬を中心に、世界に通用する優れた技術力で、高品質製品やオンリーワン製品を生み出し、メディカル領域においてグローバル社会に貢献する企業「世界に際立つメディカルカンパニー」を目指します。
自己紹介
1968年 長崎県五島列島に生まれる
1987年 長崎県立島原高等学校卒業
1993年 佐賀医科大学卒業、同脳神経外科入局後臨床研修
1995-1998年 佐賀医科大学大学院で免疫学を修める
1998-2001年 米国カリフォルニア大学サンフランシスコ校で脳腫瘍の研究に従事
2001-2002年 米国ダートマス大学で脳腫瘍の研究を継続
2002-2007年 佐賀医科大学分子生命科学講座助手 自然免疫とアレルギーの研究
2007年- 佐賀大学医学部臨床検査医学講座講師および附属病院検査部副部長 炎症性疾患の診断薬の開発
趣味は農作業、釣り、生物の観察・飼育、写真撮影
剣道四段
妻と小学生2人乳児1人の5人家族
研究紹介
この度は思いもかけずこのような賞を頂くことになり、たいへん光栄に思っております。審査員の先生方、真にありがとうございました。さて、われわれのグループは、受賞論文のテーマでもあるSCCAやペリオスチンという細胞外マトリックス分子がアレルギー疾患で高発現することを明らかにし、その意義を解き明かすべく研究を続けています。今回の論文ではSCCA1とSCCA2を個別に測定することにより、アレルギー疾患のバイオマーカーとしての可能性を示すことができました。ペリオスチンについては、最近アトピー性皮膚炎慢性化の一因となることを報告しましたが、アレルギー性疾患のみならず、肺線維症など線維化を伴う様々な疾患でも発現が上昇することがわかっており、近年炎症性疾患における一大トピックとなりつつあります。私は、SCCAに加えペリオスチンに対するモノクローナル抗体も作製して、血中ペリオスチン量を測定する診断薬の開発に携わっており、これはもうすぐ製品化される予定です。これらの新規バイオマーカー測定システムが、アレルギー疾患の治療薬に対するコンパニオン診断薬として活躍することを夢見て、日夜研究開発に勤しんでいます。基礎研究を業とする者はなかなか直接臨床に関わることができませんが、このような形でも臨床に貢献できれば、基礎研究者としてはもちろん臨床検査医としても望外の喜びです。
