• 氏名：中出 祐介
• 所属：金沢大学附属病院　検査部
• 研究内容：D型アミノ酸に着目した腎臓病研究

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自己紹介

2004年名古屋大学大学院・医学系研究科修了（保健学修士）。2004年金沢大学附属病院検査部入職。2018年金沢大学大学院・医学系研究科・血液情報統御学修了(和田隆志教授)（医学博士）。2017年金沢大学医薬保健学域・保健学類・臨床講師、金沢大学附属病院・検査部・副臨床検査技師長として、現在に至る。専門は臨床検査医学。キラルアミノ酸、共生細菌叢に着目し、主に腎臓病に関連する新規バイオマーカー・治療シーズ検索に取り組んでいる。

研究の紹介と今後の抱負

　アミノ酸にはD型とL型の光学異性体（キラルアミノ酸）が存在し、D-アミノ酸は長らくヒト生体内には存在しない、または存在しても機能を持たないと考えられてきました。近年の分析技術の向上により、ヒトを含む哺乳類の体内にも存在し、生理活性作用を有することが明らかになってきました。我々の研究グループは、腎機能の低下に伴い共生細菌叢が変化し体内D-アミノ酸プロファイルに影響を与えることを明らかにしました。さらに、D-アミノ酸の中でも、D-セリン、D-アラニンなどが腎臓病と深く関わることも同定し、これらを中心に新規バイオマーカー・治療薬への可能性を検証しています。共生細菌叢・D-アミノ酸に着目した研究を介して腎臓病患者様の福音となる成果を目指し取り組んでいます。
　日本臨床化学会理事長、選考委員の先生方に加え、本研究で多大なご支援を頂きました多くの方々に、心より感謝申し上げます。まず、大学院入学当時の金沢大学教授である和田隆志学長におかれましては、入学時から現在まで一貫して研究の遂行をご指導いただき、深い感謝の意を表します。また、岩田恭宜教授をはじめ腎臓内科学の先生方、KAGAMI株式会社、検査部の皆様にも厚く御礼申し上げます。伝統ある日本臨床化学会の学術賞という栄誉を忘れずに、さらなる研究成果を上げられるよう努力して参ります。

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• 氏名：黒崎 祥史
• 所属：北里大学 医療衛生学部
• 研究内容：2022（62回）：タンパク尿によるアルブミン負荷は近位尿細管における細胞増殖および細胞老化を促進する
  2023（63回）：近位尿細管において脂肪酸結合アルブミン負荷は細胞老化を促進する

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自己紹介

2004年　北里大学医療衛生学部衛生技術学科（現・医療検査学科）卒業。2010年　北里大学大学院医療系研究科修了（医学博士取得）、同年　北里大学医療衛生学部助教に着任。2017-2018年Aarhus University, Department of Biomedicine (Denmark), 客員研究員、2020年より北里大学医療衛生学部講師として現在に至る。

研究の紹介と今後の抱負

　この度は日本臨床化学会奨励賞にご選出いただき、心より感謝申し上げます。学会代表理事、選考委員会の先生方、ならびに日頃より御指導いただいております研究室および共同研究の先生方に厚くお礼申し上げます。
　慢性腎臓病（CKD）は進行すると透析療法を要する重篤な疾患であり、高リスク患者を早期に抽出し集約的治療を開始することは腎機能の保護に重要です。当研究室では、アルブミン尿の出ていない早期糖尿病性腎症モデル動物において、近位尿細管のタンパク質エンドサイトーシスレセプター、megalinの発現が上昇し、タンパク質の再吸収が亢進することを見出しました。そこでタンパク尿そのものが近位尿細管に及ぼす影響に興味を抱き、タンパク尿が尿細管上皮細胞の過剰な細胞増殖と細胞老化を引き起こすことがわかってまいりました。この現象は尿細管間質線維化や慢性炎症によるCKD悪化に深く関係していると思われ、また急性腎障害（AKI）からCKDへの移行にも関与することが示唆されております。
　今後、尿細管における細胞老化の分子メカニズムを明らかにすることで、CKDの新規診断マーカーやAKIからCKDへの移行を予測するバイオマーカーの探索を目指して研究を進めていきたいと考えております。今後とも皆様の御指導・ご鞭撻を何卒よろしくお願い申し上げます。

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• 氏名：櫻井 知子
• 所属：北海道大学大学院保健科学院
• 研究内容：2022（62回）：カルジオリピン代謝に対するβ – カルボリンアルカロイドの効果
  2023（63回）：ケンペロールによるミトコンドリアへの作用

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自己紹介

2009年 北海道大学 医学部 保健学科 検査技術科学専攻 卒業
2009 – 2011年 北海道大学大学院 保健科学院 保健科学コース 修士課程
2011 – 2013, 2017 – 2019年 日本赤十字社北海道ブロック血液センター
2014 – 2015年 米国国立衛生研究所
2022年 – 北海道大学大学院 保健科学院 保健科学コース 博士後期課程
2022 – 2024年 北海道大学DX博士人材フェローシップ
2024年 – 日本学術振興会特別研究員（DC2）

研究の紹介と今後の抱負

　この度は名誉ある日本臨床化学会学会賞「奨励賞」に選出いただき、大変光栄に存じます。選出いただきました学会ならびに選考委員会の諸先生方、日々研究を支えてくださりご指導いただいている北海道大学 惠淑萍先生、櫻井俊宏先生、札幌保健医療大学 千葉仁志先生をはじめ共同研究の先生方、ラボメンバーに心より感謝申し上げます。
　本研究は将来的な代謝機能不全関連脂肪性肝疾患（MASLD）の予防および治療薬開発を目指しております。我々は脂肪肝とミトコンドリアの機能不全が関与していることに着目し、その機能を保護するためのアプローチがMASLDに有用であると考えました。そして、我々は肝培養細胞C3Aにおいてフラボノイド類のケンフェロールがβ酸化やATP産生を亢進させ、ミトコンドリアに特異的な脂質であるカルジオリピンを増加させ、ミトコンドリアの質を向上させることでミトコンドリアを活性化させることを報告しました（Sakurai A et al. Nutrients 16:508, 2024）。
　今後も食品による病気の予防および治療を目指したメカニズム解析をはじめ、幅広い領域の研究に取り組み、臨床化学および本学会の発展に貢献できるよう研鑽を積んでまいります。今後とも皆様のご指導を賜れますと幸いです。

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• 氏名：藤村 建午
• 所属：積水メディカル株式会社
• 研究内容：汎用性を確立したサーファクタントプロテインD（SP-D）測定試薬「ナノピアSP-D」の開発

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左から、髙畑智宏、藤村建午(代表者)、岩崎真波

会社紹介

　この度は栄誉ある日本臨床化学会学会賞 技術賞を賜り、誠に光栄に存じます。学会代表理事、学術集会長、選考委員会の先生方をはじめ、本製品の開発にあたり、ご協力及びご指導いただきました皆様に、心より御礼申し上げます。
　積水メディカル株式会社は、「確かな品質を通じて信頼を構築する」という企業理念のもと、検査事業、医薬事業、創薬支援事業の3つの分野の研究開発に取り組んでいます。検査事業では、血液凝固・生活習慣病・感染症分野を中心とした各種臨床検査薬、臨床検査に欠かせないプラスチック製真空採血管、全自動血液凝固分析装置をはじめとする各種分析装置の製造・販売を行っています。医薬事業では、GMPを遵守した医薬品原薬（API）および中間体の受託製造を行い、高品質な製品を提供しています。創薬支援事業では、医薬品開発の研究支援として、探索段階では各種インビトロ試験や探索動態試験、申請段階では動態試験、臨床検体測定および遺伝子関連試験などの各種評価試験を実施しています。私たちは、信頼性の高い製品やサービスを通じて医療へ貢献することで、健康で、サステナブルな社会を実現できるよう、これからも努めてまいります。

研究の紹介と今後の抱負

　サーファクタントプロテインD (SP-D)は、肺のⅡ型肺胞上皮細胞より産生・分泌される蛋白質であり、間質性肺炎の診断補助、予後予測、治療効果予測に有用なマーカーです。SP-Dは、高感度なEIA法やCLEIA法の検査薬にて測定が行われております。EIA法は測定に数時間を要し、CLEIA法は専用の分析装置を必要とするため、多くの施設で外部の検査機関に測定を委託されており、検査結果の報告に時間を要しておりました。
　そこで、私たちは汎用自動分析装置に搭載可能なLTIA（ラテックス免疫比濁法）検査薬「ナノピア SP-D」を開発しました。本試薬は、SP-Dに対する親和性の高いモノクローナル抗体と、粒子の表面特性を制御した新たなラテックス粒子を組み合わせることで、LTIA法の高感度化および高精度化を実現し、CLEIA法と同等の測定範囲を有しています。また、検体中の多種多様な非特異原因物質の影響を抑制した処方設計により、B/F分離が不要で、測定時間約10分で従来法と良好な相関を示します。これにより、院内測定による診療前検査・迅速な結果報告が可能となり、多くの医療機関で間質性肺炎の診療への貢献が期待されます。
　弊社は、今後もラテックス粒子や抗体、試薬開発の技術革新を追求し、臨床現場でご愛用いただける製品開発に取り組んでまいります。

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• 氏名：徳丸光彬
• 所属：浜松医科大学　第二内科
• 論文名：Falsely elevated thyroid hormone levels associated with fibrin interference in patients receiving oral anticoagulant therapy

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自己紹介

2015年、杏林大学医学部医学科卒業。2015年～2017年、浜松医療センター初期研修医。2017年、浜松医科大学内科学第二講座入局。2017～2020年、JA静岡厚生連遠州病院内分泌代謝内科。2020年～2022年、聖隷浜松病院内分泌内科。2022年、浜松医科大学大学院入学。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病学会専門医、内分泌代謝内科専門医、甲状腺専門医、高血圧専門医。

研究の紹介と今後の抱負

　この度は日本臨床化学会・論文賞を受賞し、大変光栄に存じております。選出していただき誠にありがとうございます。学会ならびに選考委員会の先生方、関係者の方々に心より感謝を申し上げます。また、ご指導いただきました大場先生、前川先生及びご協力いただきました皆様に心より感謝いたします。
　受賞テーマに関わる、視認できないフィブリンはイムノアッセイへの干渉の原因として知られています。肝炎ウイルス検査の偽陽性などの既報がありますが、各種内分泌検査に関する知見は乏しい状況です。市中病院Aで経験した見かけ上の甲状腺ホルモン高値を呈した症例を契機に、特定の症例以外でも経口抗凝固薬内服中であれば視認できないフィブリンが測定系に干渉し、見かけ上の甲状腺ホルモン高値を惹起するとの仮説を立てました。市中病院Bにご協力いただき、後方視的検討を実施し、抗凝固薬内服群のFT4中央値が非内服群と比較して有意に高値であることを見いだしました。
　今回の受賞を励みに、フィブリン干渉を惹起しやすい内分泌検査項目や病態の評価、フィブリン干渉のメカニズムの解明等に尽力していきます。
　今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。

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